松本の夏の夜を彩る風物詩の中に「ぼんぼん」と「青山さま」の二つの祭りがある。

青山様とぼんぼんは、ともに江戸時代の末期頃から城下町の親町三町である、本町、中町、東町を中心に始まったといわれる。



青山さま

青山さまは、「青山神社」という小さな幟をたてた御輿を担ぎ「青山さまだい、わっしょいこらしょ」と掛け声をかけながら町内の各戸をまわる、八月上旬に行われる男の子の行業である。地区によって掛け声が異なることもあり、蟻ヶ崎西のように「青山さまだよわっしょいこらしょ、塩まいておくれ」と掛け声を掛ける地区もある。

マチでは、賽銭を集める地区がかなり多くあり、学年によって、神輿をかつぐ者、神輿を休める台を持つ者、賽銭箱を持つ者など役割を決めている場合が多い。神輿には青杉が盛られ、この行事は、祖先の霊を迎えるものともいわれている。



ぼんぼん

青山さまがマチの男の子にとって一年を通じて最も楽しみの行事ならば、女の子にとっては「ぼんぼん」がそうであった。

ぼんぼんは紙で作った花を頭にさし浴衣にほうずき提灯を下げ、ポックリ下駄をはいて「ぼんぼんとても今日明日ばかり、あさっては山のしおれ草」と町内をうたい歩く、八月上旬におこなわれる女の子の行事である。かっては現在のように列を組まず、「盆を組む」といって女の子が互いの肩に手を掛けてマチなかを練り歩いたという。(旧松本市史((昭和八年))にある記述)

歌は、現在では、一番だけがうたわれているのがほとんどで、地区によっては、付き添いをする保護者も歌をうたえず、歌を録音したテープを流しながらおこなう所もある。歌は、哀調を帯びたメロディーで、先祖の霊をしずめる行事ともいわれている。

ぼんぼんの歌

○ 盆々とても(あるいは立てよ)今日明日ばかりあさては嫁(あるいは山)のしほれ(あるいはしなれた)草、しほれた草を、やぐらに載せて、下から見れば、牡丹の花、上から見ればなさけの花よ、牡丹の花は、散っても咲くが、なさけの花は、今日ばかり。

○ 今年の盆は、盆とも思わぬ、紺屋は焼ける、屋形は焼ける。盆帷子は色褪める。白ではないが、紺でもないが、浅黄に染めて、ちゃんと着るちゃんと着る。



町では、ひとつの町会で女の子はぼんぼん、男の子は青山さまをおこなってきた。近年子どもの数が減るとともに複数の町会が協力しておこなうこともある。 青山さまとぼんぼんは、後世に残すべき貴重な子ども仲間の民間信仰行事であるとして、平成三年に松本市の重要無形民俗文化財に指定された。


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